2022年8月11日

着物の保管、どうしていますか?

着物の保管、どうしていますか?

こんにちは。
いせや呉服店スタッフのF です。

 

にぎやかな晩蝉の声とともに、まだまだ暑さが続いておりますが、
暦の上ではもう「立秋」。
少しずつ日が短くなっていますね。
皆様いかがお過ごしでしょうか。

 

さて今回は、着物の保管について。

持っている着物の枚数も住宅状況もさまざまなので、
ライフスタイルによって、着物の保管方法も人それぞれです。

 

先日、ある2名の方の保管方法が理に適っていらっしゃる!
と感心してしまったので、少しご紹介させていただきます。

 

着物保管例/S様、K様の2例

S様(着物歴70年/80代・女性)の場合
◆「着物の格 + 使う頻度」で分けて保管しています

長年、お茶のお稽古をされてきたというS様。
ご両親も着物が大好きだったということもあり、数多くの着物をお持ちです。

 

「これでも、かなり娘や孫、お茶のお稽古場の若い方に着てもらえるように工夫して、次の世代へと送り出したんですけどね。
それでもまだこれだけ手元にあって。なるべく自分で使いやすいように、自分なりの整理、保管をしています。
だから大体しまっている場所も把握しています」

 

そう話されるS様は、
着物専用の大きめの桐箪笥 1
帯箪笥 1
小物箪笥 1

 

さらに、
洋服箪笥 1
クローゼットの一角
衣装ケース 2
を確保して、使い分けています。
その仕分けポイントは2つ。

 

「着物の格」× 「使う頻度」

 

・格が高く、たまにしか着ないフォーマルなどは、保管環境の良さを優先。
→ 桐箪笥へ。中でも、留袖など最上格のものを上段に。

 

・カジュアルで頻繁に着るものは、引き出しやすさ優先。
→ 小紋や紬類は洋服箪笥へ。素材別にしまっています。

 

・季節の羽織物数枚は、パッと選べるように。
→ チリ避けコートや雨ゴートなど数枚をハンガー掛けでクローゼットに。

 

・着付け小物は、分かりやすさ優先。
→ 種類別に、仕切りをつけた衣装ケースへ。

 

 

K様(着物歴5年/30代・女性)の場合
◆「ライフスタイルに合わせて、無理なく」付きあっています

毎日バリバリとお仕事をこなしながら、週末をメインに月に2、3回は着物を着るようにしていらっしゃるK様。

 

「着付けを習い始めて、実家にあった着物を持ってきました。
さらに、気に入ったものを少しずつ買い揃えているところです。
今の自宅マンションは広くないですし、長く着続けたいので、いまのところ最小限に留めています」

 

そんなK様の保管場所は、
桐チェスト 1
洋服ダンスの一部
プラスチックケース 2

 

そのポイントは「無理をしないこと」

 

・とっておきのお洒落着、出番の少ないものは、きちんと保管。
→ 出番の少ない色無地やとっておきの付け下げは桐チェストへ。

 

・よく着るものは、取り出しやすさ優先
→ 出番の多い小紋や紬、化繊のものは洋服ダンスへ。

 

・小物類、着付け道具は見える収納
→ 分かりやすさ抜群の、半透明のプラスチックケースへ。

 

・滅多に着ないものは、手元に置かない。
→ 数年に一度程度しか出番のない振袖や色留袖などは、実家の桐箪笥で。

 

S様も、K様もご自分の目指す着物ライフに合った保管ルール。
「ライフスタイルが変われば、またアップデートしていきます」とのことでした。

 

 

いせやからの保管アドバイス
やるべきBest3 + やってはいけないBest3

ここで、当店いせやからぜひ知っておいていただきたい保管ポイントをご紹介いたします。

 

<やるべきBest3>

① 着ることで、風を通す

シミをつけてしまったり、汚したら大変だから……。そう言って着ないでしまいっぱなしになってしまった着物。
数年ぶりにたとう紙を開けてみると……! なんと、カビが発生していることが多々あります。
一回も着ていないのに!
とにかく着物は、しまいっぱなしが一番よくありません。
虫干し代わりに、着て出かけることで風を通してあげてください。

 

② 年1回の虫干し

とはいえ、すべての着物に手を通すことは難しいですよね。
できたら、年に1、2回、春秋のカラリと晴れた日に、ハンガーにかけ、直射日光の当たらない場所で数時間、虫干ししましょう。
すべてハンガーにかけられない、という場合は、引き出しを開けて置くだけでもやらないよりはるかに良いです。春と秋で、分けて順番に干しても良いですね。

 

③ きちんと畳む

当たり前のように聞こえるかもしれませんが、着物の縫い目や生地目を意識してきちんと畳んでおけば、次に着るときまで余計なシワをつけずに保管できます。
一手ごとに、布の間の空気を抜くように手を軽く着物のタテ方向に滑らせてあげると、布が収まるべきところへ収まり、スッと美しい畳み上りに。是非お試しください。

 

 

 

<やってはいけないBest3>

① 防虫剤の誤用・・・NG

絹や麻は、皆様が思われているほど虫に食われることは、あまりありません。
(汚れがついたままになっていたものや、昔の糊が付きすぎた裏地などが、虫食いの原因となる場合はあります)
なので、それほど防虫剤を入れる必要はありませんが(特に桐箪笥の場合など)、

入れる場合は、
・絶対に種類を混ぜない
・量を守る(メーカーの使用法を参照)
・着物はもちろん、たとう紙の上にも直接はのせず、引き出しの隅辺りに置く
ということを必ず確認してくださいね。

たとう紙を開けたら、防虫剤の形の通り四角くシミになっていた! という事例も多く見られますので、とにかく要注意です。

 

② ウール素材を同じ場所にしまう・・・NG

最も虫に食われやすいのは、ウール素材。洋服でも経験があるのではないでしょ
うか。ですので、虫を寄せ付けやすいウール着物は、別の場所にしまいましょう。
こちらは、しっかりと防虫剤を入れてください。

 

③ 古いたとう紙に入れっぱなし・・・NG

「たとう紙」は、余分な湿気を吸い取って調節してくれるために和紙製でしたが、いまは素材の紙もさまざま異なります。
ですので、対応年数もそれぞれですが、やはりどんな素材のものも、ヤケて黄変したり、カビっぽくなることもしばしば。
それらをそのまま使い続けていると、中の着物を守るどころか、着物にカビやシミを呼び起こす原因にもなりかねません。

たとう紙、着物の間に挟んだ紙、柄や紋を保護している紙類もたまにチェックして取り替えてください。
また、帯揚げ・帯締めなど小物類をビニール袋などに入れたままの保管をお見かけしますが、絹が呼吸できなくなりますので、ビニールからは出して保管を。

 

 

手持ちの着物・和装小物を写真に

最後にもう一つ、着物を大切にするためにおすすめなのが、「写真に残す」ことです。
着物や帯、小物をぜひ写真に撮って、自分だけのアルバムブックを作ってみてください。
できたら、一枚ずつ撮影して、保管場所に分かりやすく入れて置くと便利ですが、そこまでしなくても大丈夫。特別きれいに整理できなくても、大雑把で良いです。

 

手持ちの着物や小物を写真に残して

 

目的は、手持ちのものを忘れないでいてあげるためです。
たまに見返して、あれ着てあげてないなー、とか、これに合う小物まだ見つけてなかったなー、コーディネートどうしようかな、なんて考えるだけでも、着物を大切にする気持ちが沸くものです。

 

小さなアルバムに入れている方、ノートに貼り付けている方、ひたすらスマホに画像でためている方、整理の仕方も皆様工夫されている方がたくさんいらっしゃいますが、やはりプリントアウトしておくと楽しさ倍増のようです。

いまは、スマホで撮ってコンビニでのプリントアウトも便利です。名刺ホルダーのように、可愛い箱にためていくのもよし。
もちろん、お出かけされたときのコーディネイト画像をセットにできたらベストですね。

 

 

いせやでは、保管・収納やお手入れについてのご相談もお受けしています。
気になることがありましたら、ぜひお気軽にいせやへお出かけください。

 

 

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いせやグループは埼玉県深谷市・鴻巣市・東松山市・熊谷市・上里町・本庄市・川越市に店舗がある老舗呉服店です。

晴れの日の着物からカジュアル着物まで、呉服全般を取り扱っているほか、着物のお手入れのご相談なども承っております。

 

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