2022年10月10日
着物のコーディネートに迷った方必見! かさねの色目を使ったコーディネート術 part1
襲(かさね)の色目について
こんにちは。いせやグループのとまです。
10月に入り日中はまだ暑い日もありますが朝晩はひんやりとしてきましたね。
なかなか衣替えをするタイミングが難しい時期ですが、着物には着る時期によって基本のルールみたいなものがあり10月に入ると単衣の着物ではなく袷せと呼ばれる着物の裏に裏地(胴裏や八掛)が付いている着物を着用します。
さて着物を着用する際、どの着物を着るか決まった後の小物のコーディネートって迷いますよね。私も毎回着物を着る際には床に着物を広げその上に帯を置き、帯〆と帯揚を何回も色違いを置いてどれがいいか試行錯誤します。これもまた着物を着る時の楽しみでもありますがなかなか決まらない時もありますよね。
そんな時に目に止まったのが襲(かさね)の色目という平安時代から続くコーディネート術です。
襲(かさね)の色目とは
まず襲の色目と聞いてみなさんはピンと来ますか?私は15年以上呉服屋に勤めていますが恥ずかしながら今回調べるまで聞いたことがありませんでした。
襲の色目とは、平安時代以降公家社会に行われた衣服の表地と裏地、また衣服を重ねて着た時の色の取り合わせの種目で昔は男女ともに季節や年齢などで着る色目が定められていたそうです。昔の人が着用していた着物の絹は生地が薄く裏地が透けたため重なる色彩のグラデーションを楽しんでいたそうです。例えば表地が白で裏地を濃い色目にすると裏地の色が透けて見えますよね。そういった透けて見える色味のグラデーションを楽しんでいたのですね。
ただ昔は季節の色目というのを大切にしていたので秋に夏の色目を着ているとセンスがないと言われるという、昔は現在と比べてコーディネートに厳しかったのですね。現在は好きな色を自分の好みで着回せますし、色で個性を出したりしますよね。芸能人の方でもこの色といえばこの人が思い浮かぶ!なんてあったりします。(例えばピンクといえばあのご夫婦とか)
現在では厳しい決まりはなく、この色をこの季節に着てはいけないなんてことはありません。ただお洋服や着物を選ぶ時でもこの色は色味がちょっと夏っぽいから今の季節に着てるとおかしいかもなんて思ったことがあるので知らず知らずの内に襲の色目について考えているのではと今回感じました。
色の種類
子供の頃に色鉛筆を使ったことが1度はあると思いますが皆さんは何色入りのセットを使っていたか覚えていますか?私の中では定番が12色、たまにお友達が24色の色鉛筆を持っていると羨ましく思ったのを覚えています。
色鉛筆で表現されている色は一般的な色味のみで色鉛筆の数が多くなればなるほど聞き慣れない名称が付いている色鉛筆がありましたよね。そもそも人が日常で認識できると言われている色は187万5000色あると言われています。同じ赤の色味でも微妙に違う色味を無意識に使い分けているようです。人間はすごいですね!
そして今回お話ししている襲の色目にも色の組み合わせは100種類を超えるパターンがあるそうです。また色の名称も定番の色鉛筆のように「赤」や「緑」などといったざっくりした名称ではなく、赤という色を「濃紅」「中紅」「淡紅」など明るめの赤でも少しずつ違う色味で表現しています。
襲の色目を使った秋のコーディネート
さて今回はpart1ということで長々と説明を書きましたが、ここからは秋の襲の色目を活用したコーディネートをしてみたいと思います。
①落栗色(おちぐりいろ)
表に「中蘇芳」と呼ばれる茶紫のような色味に「中香」と呼ばれる薄い茶色と同色系の濃淡を表したかさねとなっています。こちらのコーディネートではそれを着物と帯〆で表してみました。名前にもあるように秋の栗をイメージしたようなコーディネートですよね。
②黄紅葉(きもみじ)
表に「中黄」と呼ばれる明るい黄色の色味に「濃黄」と呼ばれる同色系の濃淡を表したかさねとなっています。着物自体にグラデーションで黄色の濃淡を表現しているものに帯〆も黄色を合わせました。名称のように紅葉のようなコーディネートですね。
③小栗色(こぐりいろ)
表に「秘色」と呼ばれる薄い緑色の色味に「淡青」と呼ばれる濃い緑を合わせたかさねとなっています。着物と帯〆にこちらを使用し優しい色味で秋の訪れを表しているようなコーディネートにしてみました。
いかがでしたか?秋は栗や紅葉、菊などの秋をイメージするものの名前が入っている名称が多いですね。昔は表地と裏地で表現していたものを現代に置き換えてコーディネートの一部として活用し表現してみました。皆さんも是非コーディネートの参考にしてみて下さいね。
また次回は襲の色目を使った違うコーディネートをお送りしますのでpart2もお楽しみに!
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