2025年4月25日

単衣と袷の違いとは?着用時期や選び方のポイント、近年の傾向について解説

日本の伝統的な服装である着物は、その季節感や温度に合わせた素材やデザインが特徴的です。その中でも「単衣(ひとえ)」と「袷(あわせ)」は、着物の種類としてよく知られ、季節ごとに使い分けられています。今回は、単衣と袷の違いや、着用するシーズン、さらには近年の傾向について詳しく解説します。

単衣と袷の基本的な違い

単衣(ひとえ)
単衣は、文字通り「一枚の布」で作られた着物です。内側に裏地がないため、軽やかで通気性がよく、暑い季節に最適です。通常、単衣は薄手の生地で作られ、風通しがよいため、涼しさを求める日本の夏や初秋の季節に着用されます。例えば、絽(ろ)や紗(しゃ)などの透け感のある素材が使われることが多いです。

袷(あわせ)
一方、袷は「二枚の布」を重ねて作られた着物です。内側に裏地があり、一般的には冬から春先にかけての寒い時期に着るためのものです。裏地があることで暖かさを保ち、重厚感のある印象を与えます。袷は、重ね着の構造によって、着る者に温かさを提供するため、寒冷地や冬のシーズンに適しています。素材としては、絹やウールなどが多く、季節に応じた柄や色が選ばれます。

着用するシーズン

単衣のシーズン
単衣は通常、春から初夏、そして秋口にかけて着用されます。日本の四季は微妙に異なる気候を持っていますが、単衣は特に「初夏」の暑さが本格的になる前の時期に適しています。特に、6月から9月にかけては単衣が主流となります。6月の「梅雨」の時期は湿気が多くなるため、通気性の良い素材が重要になります。暑さが厳しくなる7月と8月は、絽や紗のように透け感のある素材が好まれます。また、9月の初秋も、気温が下がりきる前に適した時期です。

袷のシーズン
袷は、一般的には秋から冬にかけて着用される着物です。10月から2月の寒い時期に適しており、特に寒冷地では裏地があることで暖かさが感じられ、寒さ対策にもなります。特に12月から2月は、冬の真っ只中であり、温かさが重要視されます。秋の涼しさが感じられる10月や11月には、袷が心地よく感じられる季節です。冬の季節には、毛羽立ちやウール素材など、より暖かい素材が選ばれることもあります。

石川県の着物

近年の傾向

近年、着物のシーズンに対する認識は少し変化してきています。伝統的な着物文化が現代でも重視される一方で、生活環境や気候の変動により、着物の着用時期やスタイルも進化しています。

季節感と気候の変動
日本の気候は年々変動しており、夏の暑さが長引く一方、冬の寒さも例年より厳しい時期が増えています。そのため、単衣を着る時期が従来の6月~9月に限らず、5月の終わりや10月の初めにも単衣を着用することが一般的になっています。また、気温に合わせて着物を着ることが重要視されるようになり、温暖化の影響を考慮した着物の選び方が求められています。

素材の変化
また、着物の素材に関しても、伝統的な絹に加えて、近年では人工素材やウール、ポリエステルなどが多く使われるようになりました。これらの素材は、季節ごとの快適さを保ちながら、メンテナンスが簡単で、日常的に着ることができるという利点があります。特に、ポリエステル素材は手入れが簡単でシワになりにくいため、日常的に着物を着るシーンで選ばれることが増えています。

若者層の着物文化の再興
近年、若者層の間で着物の再興が見られます。伝統的な着物文化に興味を持つ若い世代が増え、着物を日常的に楽しむためのファッションとしての位置づけが広がっています。そのため、季節感にとらわれず、単衣や袷を季節を問わずコーディネートするスタイルが注目されています。これにより、従来のシーズンにとらわれない柔軟な着物スタイルが広がりつつあります。

着物のカジュアル化
さらに、着物のカジュアル化も進んでおり、袷や単衣に限らず、普段使いしやすいデザインや素材が登場しています。例えば、和装の小物や帯においても、シンプルで日常的に使いやすいデザインが増えています。これにより、着物を日常的に楽しむためのハードルが低くなり、季節やイベントに合わせて単衣や袷を選ぶ楽しさが広がっています。

結論

単衣と袷は、それぞれが持つ特性を生かし、季節に合わせた適切なタイミングで着ることが大切です。単衣は軽やかで涼しく、夏から初秋にかけて最適な着物であり、袷は寒さをしっかりと防ぎ、冬の寒い時期に心地よさを提供します。近年の気候変動や着物のカジュアル化、そして若者層の着物文化の再興により、季節を問わず楽しめるスタイルも増えてきています。着物の魅力はその美しさだけでなく、時代の変化にも柔軟に対応することで、現代のライフスタイルにも溶け込んでいっています。

 

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