2025年7月20日
単衣・絽・紗って何?夏着物の種類と選び方

こんにちは、いせや深谷本店のりんごです。
「夏の着物って、いつからどんなものを着ればいいの?」「単衣、絽、紗…聞いたことはあるけれど違いがわからない」——そんなお悩みを持つ方、多いのではないでしょうか?
着物は季節感を大切にする装い。特に夏は見た目にも涼しげで、着る人も見る人も快適に過ごせる工夫が詰まっています。
今回は、着物販売スタッフの立場から、30代の初心者さんから「今さら聞けない」と感じている50代以上の方にもわかりやすく、「単衣・絽・紗」の違いや夏着物の選び方を詳しくご紹介します。
本日のラインナップ
①「単衣」「絽」「紗」とは?それぞれの違い
②季節ごとの着物の切り替え時期と理由
③TPO別・夏着物の選び方(カジュアル〜フォーマルまで)
④暑さ対策や快適に着るコツ
⑤夏にオススメの小物特集
⑥まとめ
1.「単衣・絽・紗」って何?
◆ 単衣(ひとえ)

6月と9月に着る、裏地のない一枚仕立ての着物のことを単衣と言います。
袷(あわせ)着物=裏地つきの着物と違い、軽やかで少し涼しく感じられます。気温が高くなる初夏・残暑の時期にぴったりです。
【特徴】
- 見た目は袷とほぼ同じで季節感の演出が難しい分、素材や色柄で涼しさを出すのがポイント。
- 正絹の他、麻や綿の素材も多く、カジュアルにもフォーマルにも対応可能です。
◆ 絽(ろ)

7月・8月に着る、透け感のある夏の定番生地。
横に「うすく透ける隙間(絽目)」が入っていて、通気性が良く、見た目にも涼やかです。
【特徴】
- 絽目があるため、模様も透け感を活かして涼しげに描かれていることが多いです。
- フォーマルな場面でも着用可能で、訪問着や付け下げなども絽で仕立てられています。
◆ 紗(しゃ)

絽よりもさらにスケスケ感が強く、よりカジュアル寄りな素材です。
シャリっとした風合いと軽さが魅力です。涼感を重視した着物や羽織ものに多く使われています。
【特徴】
- カジュアルな小紋や名古屋帯とのコーディネートに最適。
- 絽よりも織りの隙間が大きく、柄の表現も抽象的で軽快な印象に。
2.季節ごとの切り替えタイミング

着物には“衣替え”のタイミングがあります。一般的には以下のように切り替わります
| 【月】 | 【着物の種類】 | 【特徴】 |
| 1〜5月 | 袷(あわせ) | 裏地あり・温かい |
| 6月 | 単衣(ひとえ) | 裏地なし・軽やか |
| 7〜8月 | 絽・紗(夏物) | 透け感あり・見た目も涼しい |
| 9月 | 単衣 | 残暑に対応 |
| 10〜12月 | 袷 | 防寒のため再び裏地付きへ |
※最近では気温の変化が大きいため、多少の前後は許容されることも増えています。
3.TPO別・夏着物の選び方
◆ カジュアルな場(お出かけ・観劇・ランチなど)

- 単衣小紋や麻の着物:通気性が良く、手入れもしやすいので初心者にもおすすめ。
- 紗の着物+博多帯:さらりとした着心地で、見た目にも爽やか。
◆ フォーマルな場(お茶会・式典・結婚式など)

- 絽の訪問着や付け下げ:夏でもフォーマルにきちんと装いたい場にぴったり。
- 絽の袋帯や夏帯と合わせて、涼やかな正装コーデに。
※フォーマルの夏着物は出番が少なめな分、レンタルで対応する方も増えています。
4.夏着物を快適に着るための工夫
夏の着物は、着るだけでちょっとした「我慢」が必要になる季節。でも、工夫次第で随分と楽に快適に過ごせます。
◆ 中に着るものを見直す

- 麻の長襦袢や肌着:吸湿性・通気性が高く、ムレにくい。
- メッシュタイプの帯板・帯枕:通気性が良くておすすめ!
◆ 暑さ対策グッズを使う
- うちわや扇子を持つ
- 保冷剤を使う(脇の下や背中にひと工夫)
- 日傘を活用して直射日光を防ぐ
◆ 色柄で涼しさを演出
- 寒色系(ブルー・白・グレー)を基調にした柄は、見た目にも涼しげで好印象。
- 金魚や朝顔など、夏のモチーフを選ぶのもおすすめ。
5.夏におすすめの着物小物特集
夏の装いをさらに快適に、おしゃれに楽しむために、こんな小物もおすすめです。
◆ 麻や吸汗性の高い肌着・長襦袢

- 麻の肌襦袢・ステテコ:通気性がよく、汗をかいてもすぐ乾くので快適。
- 吸汗速乾タイプのインナー:和装用のメッシュ素材や、綿麻混合素材なども人気です。
◆ メッシュタイプの帯小物

- メッシュの帯板・帯枕:通気性が高く、蒸れにくい。夏の着物姿に欠かせないアイテム。
- へちまの帯枕:天然素材でふんわり軽く、背中の暑さを軽減してくれます。
◆ 夏用の草履・下駄

- 竹皮・麻素材の草履や下駄:足元も涼しく、履き心地もサラッと。見た目の季節感もUPします。
- 鼻緒の色柄で遊ぶのもおすすめ!
◆ 夏向けの帯締め・帯揚げ

- レース風の帯揚げや、透け感のある帯締め:軽やかで涼しげな印象に。
- 絽の着物や紗の着物と組み合わせるとより統一感が出ます。
◆ うちわ・扇子・日傘

- 持ち歩き用の小物にもこだわれば、おしゃれの完成度がぐっと上がります。
- 扇子はバッグにしのばせて、着物と色をリンクさせると上級者コーデに。
6.まとめ:夏の着物は「軽やかさ」と「涼感」がカギ

単衣、絽、紗——それぞれに異なる魅力がある夏着物。
季節に合わせた素材選びや、TPOに応じたコーディネートを意識することで、夏でも着物ライフを快適に楽しむことができます。
「夏こそ着物は暑くて大変」と思われがちですが、実は“夏にしか楽しめない装い”がたくさんあるのも事実です。
せっかくの季節の移ろいを、着物で感じてみませんか?
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いせやグループは埼玉県深谷市・鴻巣市・東松山市・熊谷市・本庄市に店舗がある老舗呉服店です。
晴れの日の着物からカジュアル着物まで、呉服全般を取り扱っているほか、着物のお手入れのご相談なども承っております。
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