2023年2月9日
藍染研修に行ってきました アリオ深谷店
皆様こんにちは✿いせやアリオ深谷店スタッフの梅です。
1/31に、いせやの呉服スタッフで工房の見学へ行かせていただきました。
(この日はスタッフとは別にお客様も大人の社会科見学として藍染見学会お出かけ会の開催もございましたよ♩)
八潮市にある、「蛙印染色工芸」さんへ。
藍の効果
まずは社長様より藍についてのご説明を受けます。
—藍は防虫・殺菌・消臭の効果に優れている—
戦国時代、武士が戦いの際鎧の下に藍の衣服を着用していたようです。
またその優れた消臭効果があったから、毎日は身体を洗えなかったであろう一般の人たちも藍の着物を毎日着用することが出来た。
それほど昔から藍は生活に欠かせなかったんですね。
江戸後期には幕府からの「ぜいたく禁止令」が発せられるにもかかわらず、藍は生活に必要なあらゆるものにまで染められていった、広く国民に愛された色。
藍といえば徳島県が産地として有名ですね。特に阿波では気候や土壌が最適であったため生産が奨励されていたと。
実は藍染は世界中で栽培されている植物。地域によって”科”の名前が変わります。日本の藍はタデ藍:タデ科と呼ばれていますよ。
またいせや本店がある深谷市でも藍を栽培できたのは、吉野川と利根川の水質が似ていたからなのではないかとおっしゃっていました。
”本藍”の凄さ
実は化学藍にほんの少し蒅(すくも)を入れただけのものでも、「本藍」と呼ばれる。
これはかなり驚きでした。
洋服のタグのような品質表示がなくとも本藍になるそうですから、これを知っているのとそうでないのではかなり違いがありますね。
ここ蛙印染色工芸さんでは100%本藍を取り扱っている工房。また100%の蒅で製造されるのは全国でもここだけ。
その証明として、着物には下記画像のような説明書きがつけられていますよ。
ではどんな違いがあるのか。
合成藍との違いは”色”
藍にも色の濃さによって呼び名が様々あります。
薄い段階の色味、一般的に水色くらいの濃さであれば紫外線に弱い弱点があります。
ですので通常、製品となる着物であれば約25~30回ほど染める工程を繰り返すことで藍の深い色が出せるそうです。
回数を重ねて染めていくと、着物として重要な”焼けにくい”効果があり天然の藍であれば色が落ちることもないとのこと。
25~30回色を重ねた段階の元々褐色と呼ばれる藍の色味は「勝色」(かちいろ)とも呼ばれます。
これは先ほど戦国時代に鎧の下に着ていたことから、”勝つ色”という縁起、そして『生き残りたい』という願いが込められているのがいわれと学びました。
私はこれを聞いて、毎日着用しても色あせることのない藍の強さが、まさしく生き耐える願望の強さを表しているようにも感じました。
外国の方々には「ジャパンブルー」と呼ばれる日本の色、それが藍の色です✿ 今ではサッカー日本代表のユニフォームの代名詞となっていますね。
職人の技「型染め」
日本独自の「型染め」の染技法で、糊をのせている作業を見学させていただきました。
この道40年の職人さん。経験の浅い人が行えばこの糊を均等に塗ることは出来ないそうです。
上の型紙の部分を寸分たがわず、柄が繰り返し繰り返しつながるように針でおさえながら位置を決めていきます。
丁寧でありながらもかなり早いスピードであっという間に板の半分まで終わっていました。
型紙が少しずれてしまえば綺麗なつながり柄が出ないため、重要な作業です。
皆様に見ていただきたいのがこのキワの部分。
板の端ぴったりにまで均等に糊が渡っています。
問屋さんもかなり一押しの角度。これぞ職人のなす技ですね。
藍は身体に良い?
実際に工房内へ!
こちらの工房で行われている製法は『天然灰汁発行建』と呼ばれます。
藍の葉を90日間発酵させたものを”蒅”(すくも)と呼び、さらに発酵に必要なのものが灰・酒・ふすま。
この樽に入っているのが、”灰の上澄み”。
なんとなめられるとのこと。
試しに手の甲に伸ばしてみたら、とても滑らか!塗った部分はすべすべになりました(*’▽’)
酒は日本酒を使っておられました。藍は甘口が好みなんだとか。
こちらが蒅です!
「これはウコンよりも良いよ」と教えていただきました。
これらを甕の中に入れて発酵させています。発酵させた液の中で繰り返し染め重ねるという技法です。
ハンカチ染めを体験
皆様は染める経験をされたことがありますでしょうか?
私はおそらく幼稚園のころでしたでしょうか、、。手ぬぐいのようなものを染める体験をしたことがあったかと思いますがほとんど初なのでワクワク(^^)
まずは生地の用意から。
藍染にはいくつか代表的な染め方があります。
先輩方には”板締め絞り”が人気でしたね。(中央の見本のハンカチ:割り箸を使って模様を決めていきます)
私は輪ゴムで少しずつ縛る方法に挑戦!(見づらいですが左上のやり方です)
今回は体験なので染める回数は4回やります。
この染める段階で途中で輪ゴムを緩めたり、外していくとグラデーションのような風合いが完成するんです。
そのあたりの駆け引きも作る人によっていろいろなので二つとしてと同じハンカチはないんですよ!
さて、準備が整ったら年が新しい甕の中から浸けていきます。(約90秒ほど)
感触は生暖かい…^^; 匂いがツーンと鼻に来る感じでした。
ですが、化学染料が入っているものだともっと匂いがキツイそうです。
この甕の深さを最初に中が空の状態で見ていたので「甕に落ちたらどうしよう…」と心で繰り返し唱えながら布を優しく広げていきます。
ただ肌に付いてもお風呂で洗い流せば問題ないとのことです!しかし衣類についてしまうと落ちないんですね、、(皆さんも体験をする機会があったら注意ですよ!)
浸けた後は、網の上で広げ空気に触れさせることで色が染まっていきます。(発色させる)
とこのあたりで気が付いたのですが、、、
工房の中が寒い!!
聞くところ藍の発酵のため15~17度程度に保っているようです。水を使っての作業、冬場であればなおさら寒さを感じると思いました。
回数を重ねて3回目以降に布を付けた甕。中には”藍の花”が浮かび上がっていました!
これも時間が経つと小さくなってもっと古い年の甕はお花がしぼんでいて年季も判断できるようです。
実際に咲いている状態のお花は白色なんですよ。
4回浸けて乾かす工程が終わったら水で綺麗に洗い流します。
水の中に入れた瞬間、綺麗な青色に変わっていきました(^^)
洗い流したら脱水させて完成になります。
実際にやってみて、均一に同じ色合いに染めるのも難しいと感じました。藍を発酵させるところからかなりの時間と手間がかかることに驚きです。
こちらが私のハンカチです!
見えづらいですが左下も薄く柄が入っています。もう少し色の濃さを変えたり、輪を二重にしてみたら良かったですね…^^;
いかがでしたでしょうか。
工房の見学で一番印象深かったのは、「藍が生り物である」という社長様のお言葉。
一年ごとに藍の色味も少しずつ微妙に違うんですね。
その時にしか出会えない色味の着物、是非ともいせやの展示会にて体感していただきたいです!
最後までお付き合い下さりありがとうございました。
✿ 店舗情報 ✿
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営業時間/10:00~21:00
電話番号/048-572-8841
(年中無休)
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