2023年4月24日
牛首紬について@鴻巣店
皆さんこんにちは。
いせや呉服店の三村と申します。
この四月から、新しい生活がスタートした方も、たくさんいらっしゃると思います。
新しい生活のリズムには、少し慣れたでしょうか?
でも、ご家族様のお気持ちは、安堵と心配で複雑ですよね。
今回は、日本三大紬の一つと言われる牛首紬についてご紹介させていただきます。
①牛首紬の特徴
・耐久性に優れている。
・通気性が良い。
・肌触りが良い。
・光沢がある。
牛首紬は、石川県の白山市(白峰の旧地名の牛首村)で生産されている織物です。
昔、この地域が、牛の首の形に似ていた所から、この名前がついたそうです。(諸説ございます。)
この地域は、冬季には積雪が3~4mにもなる豪雪地帯です。
そのため、雪に閉ざされる長い期間女性たちは、糸を紡ぎ機を織りました。
その後、ダム建設のために牛首村全体が湖に沈んでしまいました。
残念ながら今では、幻の村となってしまったんですね。
牛首紬は、二匹の蚕が作った玉繭(たままゆ)から糸を紡いで織ります。
双子の繭なので、少し太めですが糸はとても丈夫です。
ただ、織上がった反物には、この節(ふし)が味わいがあり、牛首紬の特徴でもあるんですよ。
この玉繭から紡いだ糸は太く、以前はくず繭として扱われており売り物にはなりませんでした。
しかし、この地域の人々は、くず繭を使って織りあげ、地元の普段着としていたのが始まりだそうです。
熟練した職人の技で引き出して紡いだ糸は、弾力があり丈夫な糸になります。
そのため、別名「釘抜紬(くぎぬきつむぎ)」とも言われ、釘に引っ掛けたとしても、釘の方が抜けてしまうほど丈夫な紬なんですよ。
そして、最初は先染めの紬でしたが、昭和い入って京友禅の染紬として着られるようになりました。
②牛首紬の生産工程
1.まゆより→座繰製糸できない繭を取り除く。
2.煮繭→繭を鍋に入れたお湯で煮て、煮繭機を用いて処理する。
3.座繰製糸→玉繭から必要な本数を合わせて、一本の生糸に取っていく。
4.くだ巻き→糸を木製のくだ巻に取っていく作業。
5.八丁撚糸→八丁撚糸機を用いて経糸と緯糸に撚りをかける。
6.精錬→生糸についた汚れや不要物を取り除く作業。
7.糸叩き→蚕の糸のうねりを取り除き、空気を多く含む糸にするための作業。
8.染色→植物染料を基本とし、化学染料なども用いて染める。
9.糊付け→糸の毛羽立ちを防ぎ、糊で糸を保護する作業。
10.糸繰り→糸を小枠に巻き取る作業。
11.整経→経糸を必要な本数と長さに測って、反幅へと配列する。
12.機掛け→製織へと進むための準備作業。
13.くだ巻→緯糸をくだに巻き取り、杼(ひ)の中に入れる作業。
14.製織→「玉糸機」に熟練の職人が一人ひとつ受け持ち、ムラができないように慎重に織り上げる。
このように、牛首紬は全ての作業を一貫して手作業で行います。
そのため、全国染織物の重要無形文化財となっております。
現在の牛首紬は、先染めの生産量は少なく、ほとんどが後染めの京友禅です。
色無地や訪問着や小紋と、セミフォーマルからカジュアルまで着る事ができます。
華やかさと、しっとりとした柔らかさのある、何よりも手のぬくもりが感じられる牛首紬を、是非探しにお出掛けください。
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