2025年6月30日

着物を着るのにはなぜ長襦袢を着るの? 深谷本店

皆さんこんにちは。いせや深谷店の山下です。

暑い季節がやってきました。着物を着るもを躊躇するほどです。少しでも涼しく着ることを思った時、長襦袢暑いな・・・着ないとどうだろう・・・という事で、着物を着るのになぜ長襦袢を着るのかについてお話します。

着物姿の土台をかたち作る、長襦袢の役割

着物を着るときに必要な長襦袢。当たり前のように着ていますが、肌襦袢、裾除けといった下着と着物の間に着る一枚には、どのような役割があるのでしょう。

着物を汚れから守る

当たり前ですが、着物を着れば汗をかいたり皮脂汚れが付いたりして、着物が汚れます。特に首まわり、袖口まわり、足元。汗をかく脇や帯位置辺り。長襦袢を着ることで、それらの汚れが着物に直接付きにくくなっています。首の汚れが着物に付くのを防ぐ効果もある半衿も、長襦袢に縫い付けられます。

温度、湿度調節

昔は袷(あわ)せ仕立てが無く、単衣(ひとえ)を重ねることで、体温を調節していたそうです。

長襦袢を着るのもその名残。季節や着物に合わせて素材、仕立てを変えて着ることで、体温調節に一役買っています。
気候変動の激しさで衣更が暦に合わせにくいときは、着物はなるべくルール通りにし、身体に近い長襦袢の素材、仕立てを調節すると便利です。

着姿の土台を決める

着物姿のスタイルを決めるのは、下着、補正、長襦袢までといわれます。
そこまでがしっかりと決まっていれば、あとは出来上がったボディに沿って、着物、帯とのせていくだけ。長襦袢を着終えたところで、美しい着姿への勝負は半分以上終えられて

いるかもしれません。
ポイントは、サイズの合った襦袢を、空気を抜いてスッキリと着付けることでしょうか。

振りや袂(たもと)からのチラ見えによるおしゃれ効果

着物姿で長襦袢自体が見えるのは基本的に、袖口と振りだけ(襟元は、半襟を縫い付けてしまうため外からは見えません)。
それでも、ふとした手のしぐさによってチラリと見える長襦袢は、見た人の心に印象深く残ることがあります。

長襦袢の色

正装用は白一色

正装である黒留袖と染め抜き日向五つ紋付きの色留袖、色無地、黒喪服には必ず白の無地の長襦袢を合わせます。格調高い古典模様の訪問着も正装に準じた小物を合わせる場合は、長襦袢も白にします。

白の無地には地紋が入ってるものもあります。祝儀には慶事用の地紋を選び、不祝儀には弔事用を選びます。慶弔両用の柄もありますので、慶弔兼ねた地紋を選べば、兼用として着ることができます。

淡色は準礼装からお洒落用に

改まった場所へ着ていく着物として、訪問着や付け下げなどの準・略礼装や、よそゆき小紋ですが、淡い色合いのぼかし染めや淡色の色無地の長襦袢を合わせることになります。

礼装は華やかさの中にも品格を出した装いをします。そのため長襦袢も控えめにして、上品な色合いのものを選ぶようにすると良いでしょう。

よそゆきからセミフォーマルまで合わせられる長襦袢は、1枚あると着回しができるのでとても重宝します。

明るい色柄は遊び着に

カラフルな色づかいや明るい柄、遊びを効かせた洒脱な柄の長襦袢は、お洒落着や普段着に合わせます。袖口からのぞく長襦袢は、案外人目につくものです。無地感の強い紬や木綿に合わせれば、装いのアクセントとして、粋なお洒落を楽しむことができます。

総柄の小紋に合わせる場合は、柄同士がぶつからないよう、色で遊ぶタイプを選ぶのをおすすめします。

長襦袢の素材

①正絹

絹の長襦袢は、気品のある光沢感が美しく肌触りが滑らかという特徴があります。上品な印象を演出したいフォーマルの場合には、絹の長襦袢がおすすめになります。

木綿

木綿の長襦袢は、生地が薄いこともあり肌触りが優しく着心地が快適です。シワになりにくいという特徴もありますので、お手入れが本当に楽です。木綿はカジュアルな素材ですので、フォーマルな場に着るのはやめましょう。

さらっとした感触の麻襦袢は夏用として好まれています。汗をかいても肌に張り付く感じがないのが良いですよね。ただし、縮みやすくシワもつきやすいので注意しましょう。

ポリエステル

ポリエステルの長襦袢は、シワになりにくく、洗濯機で洗えることもあり、お手入れが簡単という特徴があります。安価な長襦袢が数多くありますので、値段のメリットを感じることができます。

ただし、あまりにも安い長襦袢になりますと通気性の悪さや着心地の悪さがでてきてしまいますので注意しましょう。

長襦袢の種類

仕立て方は3種類

長襦袢の衿の仕立て方は3種類あります。今ある女性用の長襦袢は、関西仕立てと呼ばれる仕立て方になります。男性用のは関東仕立てが一般的になります。長襦袢の着付けは、着物の着付けにとても影響します。ポリエステル素材で、仕立て上がりの長襦袢も売られていますが、とくに礼装ようは、着物の寸法に合わせて誂えたもののほうが、着姿が綺麗に見え決まります。

  • 関東仕立て

本襦袢仕立て、通し衿仕立てとも呼ばれます。衿肩回りから裾まで1本の衿を通した仕立て方になります。すっきりとした着姿になります。

  • 関西仕立て

別衿仕立てとも呼ばれます。竪衿と別衿をつけて仕立てるためにしっかりと胸を包み込むため着やすいという特徴があります。

  • 広衿仕立て

とくに胸が大きい方や身幅の広い方に向いています。着物のように衿幅を半分に折って着ます。

長襦袢の形

対丈と二部式

長襦袢のけに別れた二部式や着物のようにおはしょりをとる長襦袢があります。また、袖や裾など見える部分だけが襦袢地で、身頃部分は晒でできた「うそつき」と呼ばれるものもあります。丸洗いできる素材や半衿付きなどが、各メーカーから販売されています。

まとめ

長襦袢にも着物同様、素材や季節など色々な種類があります。着るシーンに合わせて選びましょう!
あまり見えないけれど、着物の土台として重要な役割を果たしています。長襦袢のオシャレも楽しんでみてくださいね♪

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