2025年8月19日
長く愛用するために~夏着物・ゆかたのお手入れと保管の基本~

こんにちは、いせや深谷本店のりんごです。
夏になると涼しげな絽(ろ)や紗(しゃ)の着物、そしてゆかた姿が街を彩ります。
汗ばむ季節だからこそ、さらりとした肌触りの着物やゆかたを身にまとえば、見た目も気分も軽やかになりますよね。けれど、夏物は汗や湿気を含みやすく、適切なお手入れを怠ると、あっという間に黄ばみやカビの原因になってしまいます。お気に入りの一枚を長く美しく保つためには、着用後のお手入れと保管方法がとても大切です。今回は、夏着物やゆかたを愛用するための基本を、初心者の方にもわかりやすくご紹介しますね。
本日のランナップ
①着物着用後はどうする?
②保管の基本
③まとめ
①着物の着用後はどうする?
『着用後は“その日のうちに風通し”が基本』
着物やゆかたを着た日の夜、まずやっていただきたいのは「風通し」です。帰宅後すぐに、着物専用の和装ハンガーにかけ、風通しのよい場所で陰干しをしましょう。直射日光に当てると色あせや生地の縮みにつながるので、必ず日陰で行います。特に夏場は汗をかきやすいので、湿気を抜くことが翌日の状態を大きく左右します。
襟や脇の下、背中など、汗が残りやすい部分は柔らかい布で軽く押さえるように拭くと安心です。完全に乾く前に畳んでしまうと、後からシミや臭いの原因になるため、「その日のうちに湿気を抜く」ことを習慣にしましょう。
汗や汚れはどう落とす?
次に気になるのは「洗うかどうか」です。
✿ゆかた(木綿素材)

多くの場合は自宅でお手入れできます。中性洗剤を使って手洗い、または洗濯ネットに入れて洗濯機の弱流水コースで洗いましょう。脱水は短めにし、シワを整えて陰干しをすればきれいに仕上がります。アイロンをかける場合は当て布をすると安心です。
✿夏着物(絽・紗・麻など)

こちらは基本的にクリーニングや専門の丸洗いをおすすめします。素材によっては水洗い不可のものが多いため、自己流で洗うと生地を傷めてしまう危険があります。どうしても自宅で部分的に汗を取りたいときは、濡れタオルを固く絞って軽くトントンと叩くようにするとよいでしょう。
②保管の基本

保管の基本は「湿気を残さない」こと
夏物をきれいに保つポイントは、畳む前にしっかり乾かすことです。数時間陰干しをして、生地がカラリと乾いた状態でたとう紙に包みましょう。たとう紙は通気性がよい紙製のものを使うとベスト。湿気が気になる場合は、不織布タイプの収納袋を使うのもおすすめです。
また、防虫剤や除湿剤を一緒に入れるとより安心ですが、直接着物に触れないよう注意してください。収納場所は桐ダンスや押し入れの下段など、温度変化の少ない場所が理想です。
いせやでは着物の保管用の袋『きものキーパー』をオススメしております。
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季節の入れ替えで“必ず洗ってからしまう”
夏が終わり、秋冬物に入れ替えるときが一番重要です。夏物は特に汗を多く含んでいますので、「洗わずに片づける」のは絶対に避けましょう。汗が残ったまま長期間しまうと、黄変やカビが発生してしまいます。
ゆかたであれば家庭で洗ってから、夏着物なら専門店で丸洗いをしてもらってから収納すると安心です。次の年に気持ちよく袖を通すためにも、しまう前のひと手間が大切なのです。
③まとめ
夏の着物やゆかたは、見た目に涼やかで着る楽しみも大きい反面、汗や湿気との付き合い方がポイントになります。
*着用後は必ず風通しをして湿気を抜く
*汗や汚れに合わせて、素材ごとに正しいお手入れを選ぶ
*収納前には必ず乾燥と洗いを済ませる
この3つを意識するだけで、お気に入りの一枚を長く美しく保つことができます。着物は大切に扱えば、世代を超えて受け継いでいけるもの。夏のお手入れの基本をしっかり押さえて、今年もゆかたや夏着物で涼やかな時間を楽しんでくださいね。
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晴れの日の着物からカジュアル着物まで、呉服全般を取り扱っているほか、着物のお手入れのご相談なども承っております。
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