2025年9月16日
単衣の季節到来!9月の着物選びと気温別着こなしテクニック

こんにちは、いせや深谷本店のりんごです。
9月は季節の変わり目。まだ暑さが残る日もあれば、朝晩はひんやりして秋の気配を感じる日もあります。着物を着たいけれど「何を着たらいいの?」「単衣っていつから?」と迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。
今回は、着物初心者の方にもわかりやすく、9月の着物選びの基本と気温に合わせた着こなしの工夫を解説していきます。
① 単衣とは?9月にぴったりな理由
着物には「袷(あわせ)」「単衣(ひとえ)」「薄物(うすもの)」といった仕立ての違いがあります。
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袷(あわせ) … 裏地がついた着物。10月〜5月が基本シーズン。
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単衣(ひとえ) … 裏地がない着物。6月と9月が着用の目安。
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薄物(うすもの) … 絽(ろ)や紗(しゃ)といった透け感のある夏用。7〜8月に着用。
9月はカレンダー上では「単衣の季節」。でも実際には残暑が厳しい日も多いため、単衣をベースにしつつ小物や素材で温度調整するのが大切です。
② 9月上旬・中旬・下旬の気温別着こなしテクニック
◆ 9月上旬(まだまだ夏日が多い時期:25〜30℃前後)
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おすすめの着物:単衣の小紋、色無地、絽の名残りを感じる単衣(透け感少なめ)。
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帯:軽めの名古屋帯や夏帯を使うと涼しげ。
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小物:帯揚げ・帯締めは薄手で明るめの色。白や水色など爽やかさを演出。
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ポイント:暑い日は「夏小物を少し残す」のがコツ。完全に秋仕様にすると暑苦しく見えてしまいます。
例)
白地に秋草柄の単衣小紋 × 薄グレーの夏帯 × 水色の帯揚げ
→ 残暑の中でも涼しさと秋の気配を両立できます。

◆ 9月中旬(気温が落ち着きはじめる:22〜26℃前後)
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おすすめの着物:単衣の小紋や江戸小紋、単衣色無地。
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帯:塩瀬(しおぜ)の帯など、秋らしい素材感の帯を取り入れると季節感アップ。
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小物:帯締めは少し濃い色合い(えんじ・からし色など)を選ぶと秋らしさが増します。
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ポイント:夏小物から秋小物へ移行するタイミング。残暑がなければ袷用の帯も合わせやすくなります。
例)
薄藤色の単衣色無地 × 黒地に金の花模様の塩瀬帯 × からし色の帯締め
→ 秋らしい深みを演出しつつ、単衣で快適に。

◆ 9月下旬(朝晩ひんやりする時期:18〜22℃前後)
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おすすめの着物:単衣の紬、単衣訪問着など少し格のある場にも対応できるもの。
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帯:袋帯や厚みのある帯でも快適に。
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小物:帯揚げ・帯締めに濃いめの色(濃紺・えんじ・紫)を合わせると秋の深みが出ます。
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ポイント:羽織を軽く羽織るのもおすすめ。昼は脱いで夜は着るなど温度調整がしやすいです。
例)
グレー地の単衣紬 × 深緑の袋帯 × 紫の帯揚げ
→ 秋の落ち着きを感じさせる上品コーデに。

③ 単衣コーデの「快適さ」を左右するアイテム
◆ 襦袢(じゅばん)の工夫
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暑い日は麻の長襦袢やうそつき襦袢がおすすめ。
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涼しくなってきたら正絹の単衣襦袢に切り替えると温かみが出ます。
◆ 足元の工夫
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残暑にはレース足袋や薄手の足袋で快適に。
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涼しくなれば別珍足袋など少し厚みのあるものへ。
◆ 羽織・道行
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9月下旬以降は、軽い羽織が大活躍。温度差対策だけでなく「着姿を引き締める効果」もあります。

④ 季節の柄選びも楽しもう
着物は柄で季節感を表現できます。9月にぴったりな柄は――
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秋草(すすき、桔梗、萩)
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菊(重陽の節句=9月9日の花でもある)
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紅葉の走り柄(まだ色づき始めのイメージでOK)

ポイントは「盛夏の花柄を避けること」。朝顔や向日葵は9月になると少し季節外れに感じられるので注意しましょう。
⑤ まとめ
9月は「暦の上では単衣、でも実際の気候は夏から秋へ移行中」という難しい時期です。
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上旬は夏小物を残しつつ単衣で涼しく。
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中旬は秋らしい帯や小物を取り入れて季節感を出す。
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下旬は濃い色合いと羽織で秋の深まりを楽しむ。
気温に合わせた柔軟な着こなしができると、快適さもおしゃれ度もぐんと上がります。
初心者の方も「暦」と「気温」、この2つを目安にすると迷わず着物選びができますよ。ぜひこの秋、単衣の着物で季節の移ろいを楽しんでみてくださいね。
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