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《振袖これチェック!》着物は“左前”に着てはいけない?右と左の正しい着方

着物を着る際、誰もが一度は耳にするのが「右前(みぎまえ)」と「左前(ひだりまえ)」という言葉。そして、「左前に着てはいけない」という注意喚起。これには、実は日本の文化や歴史に深く根ざした理由があります。今回は、着物の正しい着方である「右前」について、その意味と理由を詳しく解説します。

まず覚えておきたい基本:着物は「右前」が正解!

着物の「前」とは、【上前(うわまえ)と下前(したまえ)】のこと。
どちらの襟を上に重ねるか、ということですね。

正しい着方は──

☑【右前(みぎまえ)】

→ 左側の衿が外側に重なっている状態

つまり、着た人から見て「右の衿が下、左の衿が上」に重なっている形です。
鏡に映ると逆に見えるため、最初は混乱しやすいですが、**「自分の右手が下になるように重ねる」**と覚えると簡単です。

「左前」が絶対にNGな衝撃の理由

なぜ着物は「右前」でなければならないのでしょうか?その理由は、ずばり**「死装束(ししょうぞく)」との関連**にあります。日本では古くから、亡くなった方に着せる着物(死装束)は、生きている人とは逆の「左前」で着せるという習慣がありました。これは、この世とあの世を区別するための風習として定着しています。

そのため、生きている人が誤って「左前」に着物を着てしまうと、「縁起が悪い」「死者を連想させる」とされており、非常に忌み嫌われます。特に慶事の席などでは、マナー違反にとどまらず、周囲に不快感を与えてしまう可能性もあるため、絶対に避けなければなりません。仏教の思想に基づいたしきたりで、生きている人が左前で着ることは不吉とされているのです。
そのため、成人式や結婚式、七五三などのお祝いの場では、必ず右前で着付けます。

よくある間違いと注意ポイント

◆ 鏡で見て混乱する

鏡の中で見たとき、「あれ?左側が上になってる…」と思ってしまう方が多いですが、これは鏡の反転によるもの。
自分から見て“右手側が下”になっていればOKです。

◆ ママ振袖を自宅で合わせてみたら「左前」になってた!

最近は、お母様の振袖をお嬢様に着せる「ママ振袖」も人気です。
その際、自宅で合わせてみて「なんとなく左前にしてしまった」というケースも意外とあります。
着せるときには必ず「右前」かどうかを確認しましょう。

誰でも簡単にできる「右前」の覚え方

はじめての方でもすぐに覚えられるよう、ちょっとしたコツを3つご紹介します!

☑覚え方①「右手が懐(ふところ)に入る」

右前に着ると、右手を胸元に入れることができます。
これは武士の時代、懐に刀を入れやすいようにした名残とも言われています。

☑覚え方②「“右前”=“前に右がくる”ではなく“右が前(内側)”」

日本語の「前」という言葉に惑わされがちですが、「右前」とは右の襟が身体側に“前”に来るという意味。

☑覚え方③「“右手が下”で重ねる」

いちばん簡単なのは、右手側の襟が下、左手側が上。これだけでOK!

まとめ|右前は、着物の基本。知っておくと“品”が見える

「右前」と「左前」の違い──
それは単なるルールではなく、日本の文化や思いやり、心遣いが詰まった大切な決まりごとです。

お嬢様が袖を通す“晴れの日の振袖”。
正しい着付けで、美しく・意味ある一日を迎えていただけるように、いせや呉服店では全力でサポートいたします。

✿店舗情報✿
✿深谷本店
埼玉県深谷市仲町4-3
いせや:048-571-3161
KOMACHI:048-577-3746
(水曜・第一火曜定休)

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